G.マーラー (オーストリア)
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Mahler, Gustav (1860〜1911)

 かなり裕福なユダヤ人商人の家に生まれたマーラーは幼少時から天才的な素質を発揮し、十八才でウィーン高等音楽学校を優秀な成績で卒業した。この時の卒業作品が「ピアノ五重奏曲」で、現在は一楽章しかないものの、若々しく、激情の迸る隠れた名作である。また、ブルックナーとの交友があり、管弦楽に関する大きな影響を受けたのもこのころである。音楽院卒業後は指揮者として活躍しつつ、休暇には交響曲を作曲するという生活が続いた。とりわけオペラ指揮者としての名声も大変なもので、ウィーン国立歌劇場の黄金時代はマーラーによってもたらされたのである。しかし実生活は幸福とは言い難く、十二人兄弟のほとんどが早逝し、また、同じく作曲家を志していた弟の自殺や親友の作曲家フーゴー・ヴォルフの発狂など、痛ましい事件が彼を取り巻いていた。そのためか、初期の作品から「死」や「死後の世界」といった宗教的関心も強かった。当時随一の才媛アルマ・シントラーとの結婚もかならずしもうまくいったわけではなく、愛娘と遊んだ直後に「亡き子をしのぶ歌」を作曲するマーラーをアルマは恐怖の目で眺めていたという。はからずもその歌曲の通りに訪れた愛娘の死はマーラーにより一層暗い影を落とす。ベートーヴェン、ブルックナーが避けられなかった運命の数字「第九」を避けるため、実質九番目の交響曲を「大地の歌」としたが、その後迷信を拒否して「交響曲第九番」を作曲、完成後すぐさま「第十」にとりかかったが、結局未完に終った。マーラーはその精緻かつ大胆な管弦楽法で二十世紀音楽に大きな影響を与えた。その音楽は、民謡を取り入れたユーモラスな旋律や、ロマン派らしい憧憬に満ちた旋律に溢れている。その一方で哲学的思索という側面も持っており、特にニーチェやショーペンハウアーの悲観哲学から多くを得ている。
(執筆・著) ファエトン
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★代表的な曲
交響曲 第2番 ハ短調「復活」 [DB]
 終楽章に合唱をとりいれた形式。第一楽章「葬送」は、交響詩「葬送」として分離して出版されたこともある。終楽章では死せる魂の神の国での復活が力強く歌われる。ロマン派特有の若々しく、力強い音楽である。なお、続く第三番、第四番の一連の交響曲は、歌曲集「少年の不思議な角笛」と主題が共通しているため、「角笛交響曲」と呼ばれることもある。実際、この第三楽章では同歌曲集の一曲「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」の主題が転用されている。

交響曲 第5番 嬰ハ短調 [DB]
 第一楽章「葬送行進曲」の印象的なトランペットの出だしは、一説によるとメンデルスゾーンの「結婚行進曲」を意識しているとも言われる。時あたかもマーラー自身が結婚をした頃であるが、不吉に始まるこの曲は一応終楽章では明るく解決されている。第四楽章は「アダージェット」として知られ、ヴィスコンティ監督「ヴェニスに死す」や伊丹十三監督「たんぽぽ」などでも使用された。比類のない美しさを持つ名曲中の名曲。



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